福澤諭吉展 東京国立博物館表慶館
慶應義塾創立150周年記念として東京国立博物館で開催されている福澤諭吉展に行きました。
福澤先生はよく思想家と言われますが、近代社会を切り開く思想を行動で実践・実現する人間的な巨人だった事が展示を通じてよくわかりました。
人として独立する気品を持つ為に、その基盤として「身体の健康」を重んじました。また、当時としては進歩的な態度で「女性を男性と同じ大切な存在として扱う事」、「家族を大切にする、団欒を楽しむ事」をしました。
"社会"は与えられたものではなく、独立した個人と個人の「人間交際」を通じて形造るものと認識した事は現代にも通じる画期的な考えだと思います。
智性を深める中で、「気品を涵養する」という教育方針は、慶應義塾の教育の中で実践されました。
個人および国家としての「独立自尊」の基盤として経済的自立は重要視され、「実業を重んじた」事はよく知られていますが、その教育から多くの国家や地域経済を支える実業人が誕生しました。また公権力に対しても決してへつらう事なく、「民」の立場から演説とメディア(新聞)を通じて堂々と持論を展開しました。アジアの国々に対しても、その近代化を人との交流・教育を通じて支援していこうという姿勢があった事も知りました。
近代社会が、決して上からの押し付けで成り立つのではなく、「独立した個々の民」の精神によって成り立つ事を、海外での見聞や学習、研ぎ澄ました感性を通じて実感していたのだと思います。
オバマ米国新大統領が就任演説で、"it is ultimately the faith and determination of the American people upon which this nation relies" (わが国がよって立つのは国民の信念と決意である)、"What is required of us now is a new era of responsibility - a recognition, on the part of every American, that we have duties to ourselves, our nation, and the world, duties that we do not grudgingly accept but rather seize gladly, firm in the knowledge that there is nothing so satisfying to the spirit, so defining of our character, than giving our all to a difficult task."(米国民一人ひとりが自分自身と自国、世界に義務を負うことを認識し、その義務をいやいや引き受けるのではなく喜んで機会をとらえることだ。困難な任務に我々のすべてを与えることこそ、心を満たし、我々の個性を示すのだ)と演説しましたが、現代にも福澤先生と同じ思想が求められている事がわかります。
与えられるのを待つ人間ではなく、自ら人生を切り開き、独立する気品ある個人、人と語り合い交流の中から文明を築こうとする個人を、近代社会実現の為に求めていたと思います。
勇気づけられる展示でした。
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